9月のダナンで、夕食のあとに宿へ戻ろうとしていたら、路地の奥から太鼓の音が聞こえてきました。行ってみると、赤と金の獅子が飲食店の前で跳ねていて、店の前には子どもと大人が20人ほど集まっている。中秋節(ベトナム語でテト・チュントゥ)の時期のダナンは、こういう夜になります。
2026年の中秋節は9月25日(金)、獅子舞(ベトナム語でムアラン)は9月26日(土)まで続きます。滞在が重なっている人は、夜の予定を1つ空けておくことをおすすめします。

太鼓の音がしたら、ついて行っていい
その日はイベント情報を何も見ていませんでした。太鼓の音は建物に反射して方向がわかりにくく、音の大きいほうへ2ブロック歩いてようやくたどり着いた、という感じです。観光客は私だけで、あとは全員近所の人でした。
見物は無料で、誰かに許可を取る必要もありません。人垣の後ろに立って眺めていると、地元の人が少し場所を空けてくれました。
撮影も自由で、地元の人も全員が携帯を向けています。ただし獅子が通る道の正面だけは空けておく必要があり、そこに立っていると演者から手で合図されます。

ベトナムの中秋節は、子どものためのお祭り
日本の十五夜はお月見が中心ですが、ベトナムの中秋節は子どもが主役の行事です。星の形をした提灯を持った子どもが通りに出てきて、獅子舞が来ると最前列まで走っていきます。静かに月を眺める日本の行事とは、雰囲気がまったく違いました。
親が子どもを肩車して見せている場面も多く、店の人が子どもにお菓子を配っていました。観光客が輪に入っても浮かないのは、子ども中心の行事という性格が大きいのだと思います。
2026年の獅子舞は9月26日(土)まで
獅子舞が街に出るのは中秋節の前後だけです。27日(日)以降はチームが一斉に活動を止めるので、同じ光景はまず見られません。
9月下旬にダナンへ行くなら、昼の観光を削る必要はありません。夕食のあとに街を歩くだけで十分に間に合います。
獅子舞そのものは、店の開店祝いなど中秋節以外の場面でも行われます。ただし一晩に何チームも街を回り、どの通りでも見かけるのは中秋節の時期だけです。
街じゅうで獅子舞をやっている理由
この獅子舞は行政のイベントではなく、飲食店や商店が自分でチームを呼んで行われています。目的は商売繁盛で、店主は演技のあとに獅子へ赤い封筒を渡します。見物客がお金を払う場面は一度もありません。
1チームが一晩で何軒も回るため、同じチームを別の通りで見かけることもあります。私は同じ黄色い獅子に、2時間のあいだに3回会いました。

獅子といっしょに歩く、笑顔のお面の人
獅子舞の列には、大きな笑顔のお面をかぶった人が必ず混ざっています。オンディアと呼ばれる土地の神様で、うちわを持って獅子をからかうように踊るのが役割です。弥勒菩薩の化身とされていて、厄を払い、店に金運を運んでくると言われています。
子どもにいちばん人気があったのも、獅子ではなくこのオンディアでした。獅子は迫力があって小さい子には少し怖いらしく、みんなお面のほうへ寄っていきます。
出番待ちの路地が、いちばんおもしろかった
偶然見つけたのが、チームが順番待ちをしている裏路地でした。獅子の頭はビニールに包まれて地面に置かれ、演者は衣装のまま座って携帯を見ている。舞台裏がそのまま道に出ていて、正面から見る演技より印象に残りました。
演者は思ったより若く、中学生くらいから20代前半が中心です。頭を持つ係、尻尾の係、太鼓と銅鑼の係に分かれていて、出番の前に短い打ち合わせをしていました。




演技は想像よりずっと本格的だった
太鼓は道路に10台近く並び、演技のあいだは鳴りっぱなしです。獅子は2人1組で、後ろの人が前の人を肩の上まで持ち上げる場面が何度もありました。噴水花火が上がるタイミングも太鼓と合っていて、練習量がはっきりわかる出来でした。
日本の獅子舞とは別物と考えたほうがいいです。動きはアクロバットに近く、音量も屋内の体育館にいるくらい大きいです。
噴水花火は歩道のすぐそばで上がるので、火の粉が届く範囲には立たないほうがいいです。地元の人が自然に下がった位置が、そのまま安全な距離の目安になります。


月餅は屋台でも買えて、お土産にちょうどいい
この時期は歩道に月餅(バインチュントゥ)の仮設売り場が並びます。1個あたり約420〜910円(70,000〜150,000ドン)が目安で、箱入りは約1,580円(260,000ドン)からありました。
値段だけを見れば、日本で買う月餅と大きくは変わりません。ただし蓮の実あん、緑豆あん、塩漬け卵の黄身入り、鶏肉入りなど、日本ではまず見かけない種類が並ぶので、配るお土産にすると確実に話題になります。
見られる場所と時間帯
決まった会場はないので、飲食店と商店が密集しているエリアを歩くのが確実です。私が何度も出くわしたのはハイチャウ区の中心部で、なかでもハン市場のまわりは店の数が多く、チームが回ってくる確率も高いと感じました。
時間帯は19時ごろから22時ごろが中心です。21時前後がいちばんチーム数が多く、店の前に人が集まっていました。
川沿いの広い道より、一本内側の細い通りを歩くほうが遭遇率は高いです。チームは店が密集した道を効率よく回るので、大通りだけを歩いているとかえって見つけられません。
行く前に知っておきたい4つのこと
- 道が渋滞します。見物のためにバイクがその場で停まるので、通りが一時的に塞がります。
- タクシーは避けたほうが無難です。特に夜は動かない時間が長く、料金だけが上がっていきます。
- 移動は徒歩がいちばん速いです。宿から歩ける範囲を回るか、渋滞していない大通りまで出てから配車アプリ「グラブ」を呼んでください。
- 太鼓の音がかなり大きいです。小さな子ども連れの場合は、少し離れた位置から見るほうが安心です。
基本情報
| 行事名 | 中秋節の獅子舞(ムアラン) |
| 中秋節当日 | 2026年9月25日(金) |
| 今年の最終日 | 2026年9月26日(土) |
| 時間帯 | 19時ごろ〜22時ごろ |
| 見物料 | 無料 |
| 会場 | 決まった会場なし。飲食店・商店の店先 |
| おすすめエリア | ハン市場周辺(ダナン市ハイチャウ区チャンフー通り119番地) |
| 行き方 | 徒歩がおすすめ。渋滞するためタクシーは非推奨 |
まとめ
チケットも予約も要らないのに、今回の旅行でいちばん記憶に残ったのがこの獅子舞でした。地元の人の生活にそのまま混ざる体験は、整備された観光施設では手に入りにくいものです。
9月26日(土)までにダナンにいるなら、夜は街を歩いてみてください。太鼓の音が聞こえたら、その方向に進めば当たりです。




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